仕事場が、なんかくさい。下水のにおい。動いていれば、においも消えるだろうと思っていたが、何日たってもくさい。くさいのって、じっと我慢している
と、数時間後に慣れる。でも、あっ慣れた、と思うときがたまらなくかなしい。寒いが窓を開けると、肉のにおい。近所のハンバーグ屋からだろう。肉のにおい
歓迎。下水のにおいを消しておくれ。午後、たまらなくなり、スーパーで消臭剤とパイプに流しこむ何かの薬を買ってきて、まきまくる。どうか明日はくさくあ
りませんように。
くさい仕事場を出て、夜は、知人の退職祝いの会にいく。早く帰ろう、と決めたのに楽しすぎて遅くまで飲んでしまう(あれっ、この文章、以前にも書いた気
が)。知人のNさんは、十一月で前の仕事場を定年退職して、十二月からべつの会社で仕事をしている。家が近所なので、近所のおじさんだと思っていたら、じ
つは、とーってもすごい経歴を持つ人だった。この会に、ほんものの歌手の人がきていて、カラオケで、自分の歌をうたってくれた。あまりにほんものすぎて
(ほんものなんだけど……)なんだかにせもののように見えた。カラオケって、人をにせものくさく見せるんだなあと思った。
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