アスペクト

つれづれ雑記 角田光代

作家・角田光代さんの日常を綴る日記が、アスペクトONLINEにて連載開始です!怒涛のような締め切りの数々や大好きな肉のこと。見たこと、聞いたこと、会った人、出かけていった旅のこと。角田さんの毎日のつれづれはここでしか、読めません!!

2006年11月1日〜11月30日

日
11月1日
水曜日

 陽が暮れるのがずいぶんはやくなったことである。仕事をしていて、五時になって、はっと顔を上げると、窓の外がくらーいのってなんかさみしいですね。そこに五時の音楽が流れてくるともっとさみしい感じ。
 夕方からお弁当つきの会議に、約四カ月ぶりに顔を出し、しかしお弁当は食べずに、そのままべつの打ち合わせにいき、夕ごはん。この夜の話題でいちばん驚いた新発見は、体に埋める真珠の話だった。
 打ち合わせ&夕ごはん後、見知らぬ町でなぜかカラオケに。このメンバーでカラオケにいくのははじめてで、なんだかシュールだった。そして彼らのカラオケ には不思議なルールがあった。だれかが全員ぶんの曲を入れ、順々に歌っていくというもの。存外おもしろかった。昔の歌は意外に歌えるという事実に気づき、 びっくりした。昔(小学生のころ)って、きっと今より必死にテレビ見ていたんだろうな。娯楽があんまりなかったし。
 帰り、タクシーに乗ったら本当に自分のいる場所がわからず、運転手さんに「ここは神保町ですか」と訊いたらものすごーく笑われた。ぜんぜんちがうところだったみたい。締め切りひとつ。

日
11月2日
木曜日

 昨日の、「だれかが選曲した歌をとりあえず歌 う」カラオケについて、ぼうーっと考えながらお昼ごはんを食べる。昼ごはんののち、Nさんが送ってくれた占いの本を読みふけり、知人と知人の相性を調べて みたりし、「へー」などと思ってみる。つまり全体的にやる気なし。まじめに考えてみれば、今月、私は自分が失踪してしまうんじゃないかと心配になるくらい 締め切りが多いのだが(締め切りの数っていうより、書かなきゃならないことの量)、まだ2日なので、緊迫感がないのですね。こういうのってゴムみたいな感 じで、あとからバッチーンと痛いんだよな。締め切りひとつ。

日
11月3日
金曜日

 終日静か。文化の日だもんね。

日
11月4日
土曜日

 外を走るための靴を買いにいく。外を走るための靴って、はじめて見たけど、わりとデザインが決まっていて、選択の幅が少ない。つまるところあんまり好きな感じの靴ではない。が、買う。そののち地元で寿司。白子が驚愕のうまさ。

日
11月5日
日曜日

 昨日買った靴を履いて遠くまで買い物にいく。たしかに足が軽くて、走りたくなり、走ってみるが、普段着で走る大人というのはそうそういるものではないと気 づき、ふつうに歩いた。町を走っている大人というのは、たいがい、トレーニングウェアを着ているか、もしくは、時間と格闘しているような人ばかりである。
 生姜焼きに生姜を入れ忘れ、自分がちょっとこわくなる。つい先だってはグラタンにホワイトソースをかけるのを忘れたばかりだから。
 新聞に、村山由佳さんのテレビ番組の情報が載っていて、「敷地三千坪」というところに目が釘付けになり、三千坪というのはどのくらいなのか、知りたくて たまらなくなって、そのテレビを見る。広い、ということだけはわかったが、ではどのくらい広いのか、がちょっとよくわからなくて、辞書で調べると、一坪と いうのは、三、三平方メートルらしい。とわかっても、やっぱりわかんないや。広いものの一般の単位が、東京ドームならもう少しわかるかも。
 それからダウンタウンがお菓子でごはんを食べる番組を見た。いろんな知らない種類のお菓子があって、そのことに驚いた。テレビの夜。

日
11月6日
月曜日

 昨日の夜から、昼は天麩羅うどんを食べようと決めていたので、天麩羅うどんを食べにいく。この店の天麩羅うどんの海老天を食べようとすると、いつも、衣がぽっとーんと落ちる。今日も落ちた。
 夜、神楽坂でM社A誌の編集長、編集の方々と、鏡さんとで鍋を食す。ねぎま鍋をはじめて食べた。敷地三千坪の話をしてみたところ、みなさんがそれを見て いた。ああ、いかに忙しい女性誌の人々といえど、日曜の夜は家にいるんだなあと、なんだかしみじみとした気持ちになった。
 それから、走る用の靴と連動するipodの話を聞く。すごいことである。家電好きとしてはもうすでにほしいが、しかしみなさんの話している「ipodナノ」を「ipod生」とずーっと聞き間違えていたくらいだから、使いこなせんだろう。ナマってねえ……。
 早く帰ろうと思っていたのに、その後、どこかに移動して飲み続けてしまう。あれはどこだったのか………。

日
11月7日
火曜日

 ipod生のことをずっと考えていたら、なんと、知人からipodが送られてくる。すごいことである。こないだの週末に買った靴はナイキだから、ひょっとしてこのipodと連動できるのではないか、と夢想するが、しかし無理みたい。

日
11月8日
水曜日

 友人にお誕生日おめでとうメール。ipodをいじっているうちに午前中が終わってしまう。しかし午前中いっぱいかかってようやくCD三枚しかいれられず、 しかも、その三枚をどのようにコンピュータからipodに移しているのか、自分でもよくわからない。わからないからいちいち時間がかかる。そんで午後、さ すがにやばいだろってんで仕事をはじめたが、わざわざイヤホンして仕事してやんの。べつにだれもいないし、仕事場なんだから、ふつうにステレオで聴けばい いのにねえ。こないだ買ったばかりのThe Birthdayを聴いている。チバユウスケね。好きなのね。

日
11月9日
木曜日

 午前中、近くのスタジオで写真撮影。その後、銀座方面で会議。会議がはやく終わって、五時ごろごはんになったが、おなかがすかなかった。ごはんののち、飲む。12時過ぎに帰る。

日
11月10日
金曜日

 原稿や取材依頼のメールやファクスで、最初の宛 名には私の名前が書いてあるんだけれど、本文を読んでいくとほかの作家の方の名前が書かれている、ということが、昨今じつによくあって(角田光代宛てなの に、○○さんにぜひお願いしたいテーマだと……というところの、○○さんが別の人の名前)、こういうのってなんかトホホ。コピーペーストして複数の作家に 送っているんだろうけれど、なんつーかトホホ。あー十把一絡げねー、というかんじ。最初の宛名からしてもうちがう人、ってのもたまーにあって、これはなん つーか、ある意味すごいよな、と思う。人っていろいろだよなー。だれもが、自分のような気持ちで仕事をしているわけではないんだなーと、こういうとき、と てもよく思う。
 と、ちいさく愚痴りながら夕方、馬場へ。先だっての結婚式で会ったサークルの人々と、飲み会。こないだ会ったばかりなので、結婚式の三次会のようであ る。サークルのたまり場だった喫茶店兼飲み屋のようなところで、飲む飲む。途中で、先輩の子ども(小6)がきて、アイスティーを飲みながら塾のプリントを 見せてくれた。私にはすべての問題がわからなかった。たのしかった。

日
11月11日
土曜日

 午前中に家を出、東横線に乗るも、あっ、東横線は石川町にはとまらないんだった、と電車のなかで気づく。横浜で根岸線に乗り換えて石川町。
  昨日は大学のサークル同窓会だったが、今日は、中華街で中・高のクラブ同窓会がある。幹事が私の代なので、少し早めに集まって石川町で打ち合わせ。いった い何を打ち合わせるんだろう? と思っていたら、実際打ち合わせることはたくさんあって、私はぼうーっとしていたが、私と同期のKちゃんやいっこ下のMさ んKちゃんが、さくさくとものごとを決めていき、さくさくと準備を進め、びっくりした。自分に社会経験がないことや、学校でぼうーっとしていたことなど を、走馬燈のように思った。
 午後一時に、中華料理屋に集合して会食&歓談。私の学校は中・高いっしょで、クラブもいっしょに活動するので、年齢幅がけっこうある。私が高2のときに 中1だった子なんて、どうしたって赤ん坊のようにしか思えないが、もうみんな、35歳を過ぎていてびっくりした。でも、何度年齢を聞いてもせいぜい二十代 前半としか、脳が認知できない。
 よく、年齢を重ねて顔が変わると言うけれど、この会で会う人々は、ほんとうに、ほんっとうになんにも変わっていなくて、だれだか忘れていた子も横顔を見 ているうち、きちんと思い出せるくらい変わっていなくて、なのにみんな、おかあさんだったりするから、びっくりする。いったいどんなおかあさんなんだろう なーと思いつつ、みんなと話した。昔は横浜東口のシェーキーズでジュースとピザだったのが、今や中華コースに紹興酒だもんねえ。
 昔話をしていたら、なんとなく、このクラブに集まった人たちって、ある面すっごくきまじめなんだなあ、と思った。遊んでても勉強しなくても、そういうと ころではない部分がきまじめ。類は友を呼ぶってこういうことだ。三つ子の魂百までで、みんなまだどことなくきまじめそうで、そのことが感慨深かった。
 あと、中学生のときのクラブ合宿地がどこだったのか、私はずーっと知らなかったんだけれど、今回、それは新潟だったことがわかった。新潟までいってたのか。すごいな。
 三次会まであるようだったが、私は一次会で先に抜ける。中華大通りをぬって駅を目指し、途中、江戸清の前を通り、通りすぎたのに、糸で操られるように戻って、豚まんとフカヒレまんを買う。江戸清の豚まんが私はたいへん好きなのだ。元町中華街駅から帰った。

日
11月12日
日曜日

 掃除をして、仕事場により、買い物して帰り、和風カレーを作る。和風カレーはけんちん汁の具でカレーにしたもの。じゃが芋じゃなくて里芋、ネギじゃなくて玉葱、あとは、ごぼう、人参、大根、椎茸、豚バラ。最後に味噌を入れるのがミソです。駄洒落です。

日
11月13日
月曜日

 午前中、二件取材。昼に、新しくできた沖縄料理屋のランチを食べにいく。ソーキそば、おいしいのかおいしくないのか、よくわからなかった。この店のおにい さんが不必要にかっこよくて、また不必要に話しかけてくるので(最後のアイスなんだったかわかりますか? あててくださいよ、えー、わからない、そうす かー、じつはあれ、ゴーヤなんっすよー! ねー、わからなかったでしょう)、緊張しちゃったじゃないか。

日
11月14日
火曜日

 今月後半のことを考えて、ちょっと頭のなかがまだらっぽくなる。乗り切れるか、後半。
 いつもすぐ売り切れるので、年賀切手を買いにいった。いのししかー。

日
11月15日
水曜日

 夕方、M新聞社前に集合し、仮眠室を借 り、ジャージに着替える。今日は何があるかっていうと、なんと皇居マラソン会。森絵都さんと数人の編集者が発足したマラソンチームがあり、この人たちは皇 居からはじまって、久米島フルマラソンまで走ったりしているすごいチームなんだけれど、今日は彼らの恒例皇居マラソンに初参加させてもらうのだ。
 皇居のまわりは一周5キロ。この日のために、ジムでは毎回かならず5キロになるよう走っていたんだけれど、何しろ、屋外を走るのは20年ぶり(大学一年生のとき、サークルの訓練で外を走って以来)。無事走りきれるだろうか……と思いつつ、四時半スタート。
 はじめて走る道なので、どのビルがゴールのM新聞社なのかまったくわからず、「ああ、きっとあれだ、あれにちがいない」と思ってがんばると、それは必ず ちがうビルで、途中泣きそうになる。でもなんとか完走できました。しかし、森さんたちは5キロで止まらず二周していた。10キロ……。すごすぎる……。し かも一時間切ってるんだから、すごいよな。森さんは10キロ走ろうが、42キロ走ろうが、風呂上がりのように涼やかにけろっとしていて、偉大な人だ……と いつも思う。
 その後、ラクーアに移動して、風呂に入りたい人は入り、入りたくない人は入らない。私はもちろん入らず(言わずと知れた風呂嫌い)、生まれてはじめてマッサージというものを受けた。
 それから飲み会。赤ワインがちょっと信じられないスピードで空いていき、追加されていき、森さんチームおそるべし、と思った。帰りにはすでに筋肉痛であった。やっぱ、マシンで走るのと、外を走るのと、使う筋肉がちがうんですね。締め切りひとつ。

日
11月16日
木曜日

 夕方、高円寺で打ち合わせ一件、その後、古本居酒屋に移動。今日は、久住さんと長嶋有さん、長嶋康郎さんのトークショーがある。七時だと思っていったのだが、七時半開始だった。タラモサラダと焼売を食べビールを飲み、本を読んで待つ。
 今日も、たいへんにおもしろいトークだった。長嶋康郎さんは長嶋有さんのおとうさんで、古道具屋さんをやっている。著書もある(おもしろい!)。エジン バラ公が描いたという絵を売りにきたお客さんの話が、めっぽうおもしろかった。十時にトークが終わり、いつもは飲み会になるのだが、私は寝不足のため頭が ぐらぐらしてきて、そのまま帰った。高円寺、最近何度かきているから、前のようにしょっぺー気持ちにはならなくなった。慣れたんだな。
 ところで、移動ちゅうに入った高円寺の本屋さんで、「お買いあげの方、傘差し上げますのでおっしゃってください」とレジに書いてあってぎょっとした。傘って。太っ腹だな。締め切りひとつ。

日
11月17日
金曜日

 午後打ち合わせ一件。夕方、仕事を終えて近隣の 繁華街に。今日は女四人の会である。カウンターだけのホルモン焼き肉屋で、煙を体じゅうに吸いこませながらいろんな話をする。二次会でピザまで食べて語り 合う。率直な会で、それが本当にたのしかった。大人になってから率直な人々と仲良くなれるということは本当にすばらしいことだと思う。締め切りいつつ。

日
11月18日
土曜日

 午前中、昨日十二時まで飲んでいた町に向かい、おでんだね屋でどっさりおでんだねを買う。帰ってから、大根を煮卵を煮、こんにゃくを灰汁抜きしじゃが芋を むき、おでん煮る煮る。煮る間に仕事。夕方渋谷にいって対談。すごくたのしくて、時間があっという間に過ぎ、もっと話したいー、と思いながら終了。家に すっとんで戻り、作っておいたおでんを食べる。知人からボジョレーヌーボーをいただいたのでそれを飲む。
 おでんの具でいちばん好きなものは何かっつーと、卵。餅巾着。げその入ったもの。
 おでんにじゃが芋を入れるというのは、大人になってから知った(うちのおでんには入っていなかった)。今日も入れてみた。

日
11月19日
日曜日

 こないだの、皇居マラソンで、みんなの走りっぷ りに感動した私は、自分もいつか二周したい、と野望を抱き、それで朝、走ることにした。準備万端にして外に出たら小雨。でも、走ると決めたので走る。15 分走って目的地の公園に着いたら、たいへんに疲れており、ずるして歩く。また15分かけて走ってきたので、5キロくらいは走れたのかな。激しく疲れてい た。いつか10キロ走れる日がくるのだろうか………。

日
11月20日
月曜日

 午後早くに天王洲アイルで取材。はじめていった場所で、何か不思議だった。外で撮影をしていたらインド系サラリーマンが大勢で見ていた。その後、羽田に いって沖縄に向かう。到着後すぐホテルにいって、さらにすぐどこかにいって初対面の方々とごはんを食べる。豚の内蔵が入った汁が、驚くほどうまかった。会 食は十時に終わり、沖縄に住んでいる友達に電話をして、彼女が夫婦でやっている飲み屋に向かう。久しぶりの再会を果たし、12時頃まで飲む。締め切り二 つ。

日
11月21日
火曜日

 私、沖縄は21年ぶりなのである。なんだか雰囲 気がずいぶん変わったなあ……って、あたりまえのことですね。21年じゃあね。  今回沖縄にきたのは人前で話をする機会をいただいたのと、別件の取材がからんだため。話をするのは、ほんとーーーーうに下手なので、いつもはお断りさせ ていただいているが、今回は特別な理由があって申し訳ないながら引き受けたのだった。午後に大きなホールで話の会があり(相変わらず下手ですみません)、 人が大勢いたので驚いた。きてくださった方々、ありがとうございました。
 その後の取材チームが到着するまで原稿を書いて待つ。あの、昨日から、外を自分の足で歩いていないんですけど。
 取材チームは夕方到着、そのまま車に乗ってごはんを食べにいく。私は肉派でさらに豚派なので、沖縄料理はうれしい。それから友だちの飲み屋にまたいったら、K書店のGさんがいた。すごいな。東京でばったり会うってこともめずらしいのに、沖縄でばったりなんて。
 たいへん申し訳ないことに私泡盛が飲めないんですよ。っていうか飲めるんだけど、飲むと、たった三杯ほどで腰が砕け記憶が飛び散ってもうたいへんなことになるんですわ。それでせっかくの沖縄、せっかくのクースバーなのに、ふつうの焼酎飲みました。

日
11月22日
水曜日

 あら、雨……と思っていたら、あれよあれよというまに大雨になり、ものすごい嵐になる。たいへんな突風のなか、車は海に架かる細い橋を渡っていくのだが、車がずんずん揺れてこわかった。
 この取材の写真を引き受けてくれたのが私の大好きな長島有里枝さんで、もんのすごーくたのしかった。夜は居酒屋風の店で沖縄料理。豚もうまいが、田芋というもののうまさに感動する。田芋、すごいっ。

日
11月23日
木曜日

 新聞で見ると、昨日は、記録的大雨だったみたい。なんと土砂崩れも竜巻も停電もあったそうだ。21年ぶりにきてそんな日を過ごすってなんかすごいな。
 一日取材。昨日と一変して晴れで、暑い暑い。私は東京で10月くらいの格好をしていったんだけれど、暑くて気持ち悪くなった。もっと臨機応変な服装をす ればよかった。こういうところがいつまでたっても旅慣れない証拠である。那覇でいちばんおいしいというサーターアンダギーを買い、うこんを買い、豚肉を買 う。不思議なマンションを見る。
 浜辺にみんなが夕陽を見にくるところがすばらしかった。タイみたいだった。
 夕陽を見終えてから空港に移動し、ごはんを食べて、夜沖縄にさようなら。もっといたかったなあ。

日
11月24日
金曜日

 月末に締め切り地獄なので、沖縄帰りだが、いつもより少しはやく家を出る。寒いでやんの。もう冬ですね。たしか去年も書いたけれど、今年もまた、直角的な冬。もっとグラデーションがほしい。締め切り二つ。

日
11月25日
土曜日

 私にとってさほど珍しい現象ではないのだが、午後、猛烈に焼き肉が食べたくなり、夜になるのを待って焼き肉を食べにいく。夜はテレビドラマの「氷点」を見る。

日
11月26日
日曜日

 自宅のパソコンは電話回線だったのだが、インターネットがusenでできるとわかって、ケーブルを買い、つなげてみる。すごい。どこにも申し込んでいない のに、ふつうにインターネットができる。テレビみたい。ところが操作を間違って、ipodに入っていた曲を全部消してしまう。あああああああああ。

日
11月27日
月曜日

 午前中半蔵門にいってラジオ。その後駆け足で 戻ってきて取材、もうだめだ、もう間に合わない、とうなりながら原稿。月末が本当にこわいことになっているのに、終わる気がしない(あれ? ○○の気がし ない、って使い方がちがうかな。負ける気がしない、というような、強気の発言に使うものなのかな。終わる気がしない、って、これ以上ないほど弱気なんだけ どな)。締め切り三つ。夜秋刀魚。

日
11月28日
火曜日

 午後、K書店で連続取材、その後新宿に移動して、一年ぶりの会合。西新宿の不思議な飲み屋で、6人ほどでたくさん飲む。おうちみたいな飲み屋なので、否応 なくくつろぐ。久しぶりに日本酒を飲んだ。日本酒、おいしいなあ。11時に近くに移動して、また飲む。たのしかった。締め切りひとつ。

日
11月29日
水曜日

 締め切り関係のことで、頭がずっと、軽いパニック状態。こんなにたいへんだったのは、この五年ではじめてなのではないか。いったい何が起きたというのか。自分でもよくわからない。
 夕方、銀座方面にいき、C社で来年の本のことの話し合い。だだっ広い会議室で、三人ぽつんと座り、問題点を話し合っていく。中身の詰まった話し合い。で も、話し合っているあいだは月末付近のことを考えずにすむので、ちょっとたのしかった。て、いうか、もうすでに月末なんだけれどもね。
 みっちり話し合ったのち、麻布方面に移動して、べつグループと落ち合い、食事。この店、知人に勧められたんだけれど、そしてたしかにおいしいのだけれ ど、いかんせん、一品一品が登場するのが、暗い気持ちになるほど遅い。私はたぶん人よりイラチなので、「ふんぎゃー」とテーブルを幾度もひっくり返しそう になった。だってさー、前菜(つめたいもの)から次の料理(あたたかいもの)まで一時間かかるってどうよ。食事を終えたらもう夜中だった。締め切り四つ。

日
11月30日
木曜日

 午後いちに家を出て、上野に向かう。仕事 で必要なので、仏像展にいくのである。仏像展、たいへんに混んでおり、入場するだけで三十分待ち。いったいどういうことなのか……。美術館にいくたび、こ んなに美術好きの国民はいないべ、といつも思う。それが何展であっても混んでいる。日本人は世界一の美術好きであると思うのだが、町が美術的にならないの はなぜであろう。
 締め切りよっつ。いくつか間に合わず。未だ地獄の釜のなか。

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