アスペクト

つれづれ雑記 角田光代

作家・角田光代さんの日常を綴る日記が、アスペクトONLINEにて連載開始です!怒涛のような締め切りの数々や大好きな肉のこと。見たこと、聞いたこと、会った人、出かけていった旅のこと。角田さんの毎日のつれづれはここでしか、読めません!!

2008年2月1日〜2月29日

2月1日
金曜日

 真冬ですね。午後に仕事場を出て都心にいき、ホテルで対談。お相手はなんと安藤忠雄さん。世界のアンドーに会えるとはなんたることであろうか。安藤さんのお話はほんっとうにおもしろくて腹が痛むほど笑った。気負いがなく、気遣いがあり、自由で、どこまでもおもしろい、すばらしい人であった。私はじつは間接的に安藤さんにたいへんにお世話になっているのだが、その話を打ち明けたことである(この話は今までだれにもしたことがなかったんだけれど、まさか安藤さんご自身に打ち明けられるとはおもわなんだ)。あさってニューヨークにいくんだけど、と、トイレにいくみたいにおっしゃっていたのが印象的だった。
 その後、いったことのない町にいき、「きっと目的の店はこっちじゃないだろうなー」と思いながら、しかし方向転換せずに歩く。そしてやっぱり何分歩いても目的地が見えてこないので、カードを売っていた店に入り、すてきなカードを買い、目的地の所在地を告げると、やっぱり反対側ということであった。方向音痴はたいてい正しい方向の逆に自信を持って歩き出すが、私は自分が方向音痴だという自覚があるので、「私が自信を持って歩きそうな道はこっちだが、ならばそれは間違っているからこっちを歩く、でも私が歩いたとたん、目的地は自動的にこっちではないのだろう」と、ややこしい判断で歩くので、よくわからなくなるんだよな。
 その目的の店というのが激辛四川料理店で、激辛中毒の会、MさんとKさんと集まる。麻婆豆腐、茄子の蒸し煮、牛の水煮、さらに辛くしてもらった汁なし坦々麺、とテーブルを真っ赤に染め、しかしどれもうまく、ばくばく食らいながらあれこれと話す。私はうっすら汗をかいたがさすがに二人は汗もかかず鼻もすすらず、まるで冷や奴でも食べているみたいにごくふつうに食べ続けている。お店の人が真っ赤なテーブルを見て「そんなに辛いものばかり……だいじょうぶ?」と訊きにきた。この店は辛いがたいへんおいしい辛さであった。締め切りふたつ。

2月2日
土曜日

 昼過ぎから仕事。海にバスクリン状態だとしてもやるのである。涙。
 外食後カラオケにいき、この「自分で決めたことを守れず土曜仕事」ストレスのせいか史上最多時間、好きな歌ばかりうたった。シャウト歌唱法もだんだんできるようになった。外に出たら雪が降っていた。締め切りひとつ(土曜なのに!)。

2月3日
日曜日

 起きたら外真っ白。まだ雪が降っている。マンションの子どもが上階の雪を集めて雪だるまを作り、それをエレベーターで自分ちの階まで運んでいた。子どもは条件反射的に、遺伝子レベル的に雪だるまを作るな。雪の日はいいなあ!夜は豚しゃぶ。ビバチェリーポーク。

2月4日
月曜日

 朝、通勤路がつるつる滑る。私の前を歩くおねえさんが、もんのすごい高いヒールでカツカツカツカツと転ばず滑らず、もんのすごい速さで歩いていったが、あの人は雪の降る町で育ったのかなあ。華麗であった。今が人生でいちばん忙しいような気がすると毎月思っているが、今日、はたと気づいた。忙しいのではなくて、私にはただ余裕がないのだ!時間のつかいかたが下手な上、どうでもいいことですぐフリーズ状態になるので、すぐに余裕がなくなるのですね。気づきたくなかったなあ。締め切りふたつ。

2月5日
火曜日

 銀行に手続きにいって持参したはんこが間違っている。コーヒー豆を買いにいってコーヒー豆屋が閉まっている。郵便局にいって何をしにきたのか忘れる。ああ、無駄ばかりの日々。
 昔、「すんげー辛い!」と、汗まみれになって食べたタイスキソースというしろものがあって、八年ぶりくらいにこれを買い求め、食してみたところ、まったく辛くなく、「私の味蕾は絶滅しかかっている」と気づく。先週、激辛中毒の集いがあったばかりだしなあ。締め切りひとつ。

2月6日
水曜日

 仕事をしていたら窓の向こうで雪。どおりで寒いはずだよ……と思いつつ、つい雪に見とれる。夕方、都心で来週の出張のうち合わせをして、その後恵比寿へ。ハワイア〜ンな店で新年会。飲む飲む飲む飲む。飲んでいるあいだにフラのショーがはじまる。うつくしかった。さらに飲む飲む飲む飲む、その後カラオケへ。昭和縛りで歌う。このあたりで記憶がすでにない。締め切りふたつ。

2月7日
木曜日

 激二日酔い。徒歩通勤もさぼって電車。よれよれ。ところでふっと思い出したんだけれど、タイ取材のとき、私のいっちばんいきたかったところはムエタイスタジアムだったの。ルンピニの。このあたりは十七年前はものすごく治安が悪くて、試合を見たくて近くまできたんだけど、やっぱり周囲とかすさんでいてこわくて見に入れなくて、そんでその数年後、意を決して見にいったんだけれどその日はそこで試合をやっていなくて、「うー、いつかムエタイを見たい」と思っていたのだった。今回の取材の同行者は、格闘技好きの編集者Dっちと、武田選手のオフィシャルカメラマンであるFさんだったので、こりゃあムエタイにいってくださいって神さまにお願いされているようなもんだわな、と思っていた。もう何をおいてもムエタイ、ほかにいきたいところは特にありません、というくらい見たかったの。それがねえ、私がタイにいく直前に王さまのおねえさんがお亡くなりになって、なんと私の滞在中すべてのスタジアムで試合は自粛されていたの。私の帰る日の夜から再開だったの。なんていうか、縁がないってこういうことだよな。
 なんてことをなぜか思い出して仕事をしていたところ、ファクスがトナー切れ。在庫もなし。一気に気分が暗くなる。ムエタイには縁がないしファクスも受け取れない。あああ。
 夜は大久保でM社の人と新年会。サムギョプサルである。いろんな新事実を知り、驚いたり笑ったりする。お店の女の子が、「今日は韓国のお正月です。韓国にいたら、家にお客さんがいっぱいきて、おかあさんにあれをしろ、これをしろと言われてこき使われるけれど、日本にいるから今年は楽。よかった」と、豚を焼きながら話してくれた。なんていうか、最近はロボットみたいな店員の人が多いなか、こういう体温のある話を聞くとしみじみといいなあーと思う。締め切りふたつ。

2月8日
金曜日

 朝、新聞を開き、川村先生の訃報がまず目に入って言葉を失う。川村先生とは読売の読書委員でお会いして、その後幾度かみんなで飲む機会があった。本当にすてきな人だった。昨年の中公賞の三次会にいらしてくれて、歌をうたってくださった。U記者の追悼の言葉を読み、泣いた。しんみりと過ごす。締め切りふたつ。

2月9日
土曜日

 今日は恒例の高齢温泉会。新宿に集合するも、目的地行きの電車が遅れに遅れていてホーム大混乱。私たちの乗る電車は運休。やむなくきている電車に乗って無事到着。この温泉旅行、私は毎回他人任せで、いつもどこにいくのかすらわからない。降りた駅から延々タクシーに乗り、温泉地へ。益富温泉というところだった。周囲には何もなく、雪がしんしんと降っている。美しい光景。だらだらと酒を飲み、ラジウム温泉に浸かり、夕飯を食べ、まただらだらと飲み続ける。文学論や、愛問題や、小説話や、もろもろ。雪はまだしんしんと降り続け、明日のバスは運休になるかも、と宿から電話があり、私は明日どーーーーうしても下山しなければならない用事があるので、九時にタクシーを呼んでもらう。タクシーもこられなかったら朝五時に起きて徒歩下山だな。と思いつつ、妖怪のように飲み続ける人々より先に眠る。

2月10日
日曜日

 朝ごはんを食べ終え、また温泉に入るみんなと別れ、無事にきたタクシーで駅へ。みんな、今回もまた歩かないのであろう。旅館から蕎麦屋かどこかへ一直線に向かうのであろう。帰り着くその瞬間まで飲みっぱなしであろう。
 タクシーがこられなかった場合徒歩でも下山すると思ったのにはわけがある。今日は、今日は忌野清志郎完全復活祭!!なのである。午後武道館に猛然と向かう。座席で、キヨシローの会のMさん、正装している尊敬すべきTさんらと会う。アリーナ席に、清志郎のライブではいつも会う大学時代の先輩Tさんを見つけ手をふりあう。なんていうか、清志郎のライブは私にとっては村祭りとかそんな感じである。はじまる前からものすごい熱気。清志郎が登場し、感動のあまり泣いてしまったことである。思えば、三年前の夏の日比谷が中止になって以来だものなあ。
 そしてなんと今日は、恥ずかしながら告白すれば、七曲目のチャボの歌で、老若女が舞台に二、三十人登場して歩く、ということになっているのだが、私もそのなかにまじって歩かせてもらえるのである。ただステージ上を歩く、としか聞いていなかったので、左から右へと歩いていけばいいんだと思っていたが、ステージ上を「好き放題メンバーに絡んで歩きまわる」という指示で、そんなこと、できるわけないわなあ。どうしよう、どうしよう、と知らない女同士で言い合いつつ、ゴーサインが出て舞台へ。私はもう何がなんだかわからず、目の前に清志郎とかチャボがいるというだけで「カイロの紫のバラ」状態になり、口ぽかん。邪魔にならないよう歩くのが必死。客席は暗く、Mさんに手をふろうと思ったけれど、ぜんぜん見えない。あっという間に退場。失禁しなかっただけいいか。
 それにしてもすばらしいライブで、大興奮した。清志郎って人はなんなんだろうね。もはや化け物の域だと思うね。あさってから出張なので、終了後すぐに帰る。

2月11日
月曜日

 今日って休日? 町の感じがいつもと違う。
 明日から出張なので、仕事をしだめたり、準備をしたりのてんやわんや。暑いところにいくときは荷物の楽さと精神的楽さが正比例するが、寒いところにいくときは荷物の重さと不安が正比例する。何かし忘れるような、何か持っていき忘れるような。明日からの出張はニューヨークとシアトルで、何をするかってえと、コロンビア大学で翻訳者の方・評論家の方とトークショーをしたり、日本の本を売る本屋でトークショーをしたり、ワシントン大学でやっぱりトークショーをしたり、するのです。もちろんみんな日本語で。「対岸の彼女」が英訳されたので、まあ、なんというかその宣伝にいくんだと思う。だれもきてくれないような気もするが。そんなわけでいってきますでやんす。締め切りふたつ。

2月19日
火曜日

 昨日アメリカから帰ってきた。それにしてもアメリカって遠いんだなあ。びっくりした。
 大学や本屋さんのイベントに、だーれもきてくれないんじゃないかなあと思っていたけれど、本当に多くの方がいらしてくださって、感動した。みなさんありがとうございました。そうしてたいへんびっくりしたのが、アメリカ在住の日本人の方で、この日記を読んでくださっている方がいること。あーーーんなに遠いのに!インターネットってすごいなあ。本当にありがとうございました。とても貴重で刺激的な体験でした。
 それにしても食事の量がものすごいことになっていた。あれ、毎日食べていたら、だんだんぜんぶ食べられるようになっていくんだろう。アメリカ人編集者Mさんは日本生活が長すぎて、ごはんを完食できなくなっていた。うーん、胃って……。
 今日からごくふつうに仕事。が、メールの返事を書いているだけで一日が終わってしまったことである。

2月20日
金曜日

 気がついてみれば帰りはあんまり時差ボケがない。今日は3月の陽気らしいが、3月ってこんなに寒かったっけ。昼に、非常にめずらしく魚が食べたくなり、魚の定食を食べ、魚の定食を食べている自分にびっくりした。午後に仕事場を出て新宿にいき、修理に出していた時計を受け取り、その後移動して新橋の近くの異様に高いビルにいく。このあたり、昔は町ではなかったような気がする。その新しい町に、馬鹿でかいビルがたくさん建っている。このビルの上のほうでうち合わせ焼き肉。景色がすごいでやんの。月がまんまる。焼き肉後、近場に移動して、松浦さんのお祝いの二次会に参加する。その後三次会。楽しくて飲み過ぎる。帰ったら三時。締め切りふたつ。

2月21日
木曜日

 仕事場の近くにチェーン店のカレー屋があって、持ち帰りができるので、二日酔いでなおかつ忙しいときはここのカレーを昼に買うのだが、このカレー屋には辛さに段階がある。私は10、って辛さが好きなんだけれど、10、って頼む人があんまりいないのか、注文する際「10で」と言うと、決まって「え?なんですか?」と訊かれる。そのたび「あのー、辛さを10で」と繰り返さなければならず、そのことがちょっと恥ずかしい。そうして今日に至っては、二日酔いでなおかつ忙しいのでまたカレー弁当買いにいったんだけれど、「10で」と言い、「わかりました」と答えてもらったにもかかわらず、ふつうの辛さだったよカレー!ふつうの辛さじゃいやなんだよー!しかたないので、仕事場にある鷹の爪を千切って入れて食した。かなしい。
 ところで、鍋にはまって家晩ごはんの9割が鍋というていたらくだが、鍋だと、自然と善の食事が増えるのである。肉の鍋もいいけど魚の鍋もおいしいからね。そんで、この冬、私の食事、善だよ善。今年の中性脂肪値は下がっているのではないか。もう高脂血症の判定は出なくなるんじゃないか。(と書いていて思ったが、こちらのホームページに移ってから日記を読んでくださっている方、善、というのは、魚や野菜の多い食事のことで、悪、というのは、私の大好きな油と肉で構成された食事のことです。何月何日参照、などとやってみたいが、私には無理なので、自己注釈を入れてみました。)締め切りふたつ。

2月22日
金曜日

 あ、ぞろ目(日にちが)。なんで2月だけぞろ目の日にぞろ目だ、と気づくんだろう。2月って日にちが短いんだよなー。それでみんなヒーヒー言うんだよなー。たった2日か3日足りないだけでしょ?と言う人もいるが、その2日3日がねえ……。一日って結構な量がある、って2月に気づく。そのための2月なのかなあ。締め切りふたつ。大幅に字数を間違えた原稿の書きなおしひとつ。

2月23日
土曜日

 DVDで映画を二本観る。ものすごい風になってきて、窓の外が真っ黄色でなんにも見えない。雨、とか、嵐、とか、いろいろ苦手な天候はあるが、私は強風がもっともこわい。なぜか絶望的な気持ちになる。夜、近所にできた寿司屋にいき、日本酒をがばがばと飲み寿司をばくばくと食らう。

2月24日
日曜日

 某雑誌でやっているダイエットの撮影日で、監修である神戸の松本先生に久しぶりにお会いする。減りつつあった体重が増え気味になっており、アメリカ旅行で私がいかに食の混乱を引き起こしたかを指摘される。たしかにねえ。アメリカのごはん、どうしちゃったのかと思うくらいの量で、食事の量を計算するとかそんな世界じゃなかったからねえ。なんていうの?養老の滝って話あったでしょ、飲んでも飲んでも尽きぬ酒の話。あれのごはん版みたいだったものなあ。食べても食べても尽きぬポテト……食べても食べても尽きぬステーキ……食べても食べても尽きぬサンドイッチ……。また明日から気を引き締めてがんばります。
 今日も風が強く、外は真っ黄色で、電車も遅れまくっていた。洗濯物がたいへんなことになっていた。「砂の女」を思い出して口のなかがかぴかぴになった。(「砂の女」って読んでいるときも、思い出してさえも、口のなか、かぴかぴになるよな。すごい小説だよな。)夜はカツを揚げた。

2月25日
月曜日

 気を引き締めてがんばっています。猛烈に仕事をするも、やっぱなんか間に合わない。なーんか間に合わない気がして、こわい。なんかこの五年くらいずっとこわいんですけど。  シアトルで食べたクラムチャウダーがあまりにもうまくて、在シアトルの人に作り方を聞いたところ、牛乳でなく生クリームをたくさん使うとのことだった。きっとバターもたくさん使うんだろう。それで今日、真似をして、大量の生クリームを投入して作ってみたが、まだシアトル風には及ばず。もっともっと大量の生クリームかなあ。

2月26日
火曜日

 夜、自宅にて、かなしい気持ちになりながらちょこっと仕事する。これはいうなれば残業。締め切りふたつ。

2月27日
水曜日

 午前中に仕事場を出て浜松町のラジオ局でアイルランドの短いエッセイを朗読。その後、神保町に移動。浜松町ってどこへいくのも近いんだなあ。私の頭のなかの地図では、浜松町と神保町って小一時間かかるんだけど、実際は15分程度だった。一時の取材まで間があるので、カレー屋に入る。こういう、はじめてのカレー屋は、辛さの限度がわからないので弱腰になる。たとえばこの店、辛さが調節できるのだが、辛さ3では「危機!」と、辛さ4では「責任持てません!」とメニュウに書かれている。4がメニュウに書かれている最高で、その以上もできるので申しつけくださいとある。うーん。迷うなあ。でも「責任持てない」ってなんかこわいしなあ、と、ひよって辛さ3にしたら、ちっとも辛くなかった。やっぱ4にすればよかった。などといじいじ考えつつ昼ごはんを食べ、まだ時間があったので、本を買って喫茶店にいこうと思いつつ書店に入ったら書店罠にかかり、抜けられなくなる。たのしいなあ書店。本を二冊買い、十分だけ茶を飲み、約束のある出版社に走る。またしてもS社の受付の人こわい。漏らしそうになるほどこわい。「ありがとうございまーす」と陽気に言っても、笑顔も見せず無視(数ミリ首を動かすのみ)。何か私、知らず知らずにこの人のことこっぴどく傷つけたのかもしれん。あるいはこの人には前世が見えて、私は前世でこの人を斬り殺したのかもしれん。そこまで妄想してしまう自分もあたまがおかしいが。会議室で、こないだいっしょに豚を食べたTさんの取材を受け、そのまま山の上ホテルへ。べつのS社のKさんと喫茶店で会う。Kさんと会うのは十年ぶりくらいかなー。「前に会ったのはたしか焼き肉屋……」と、漠然とした記憶を言い合う。国内旅行についての取材。
 帰ったらまだ四時だったのでぐおーんと仕事。ぜったいのぜったいに間に合わない。どうすればいいんだろう。と、うつろな目をして五時過ぎに帰る。締め切りひとつ。

2月28日
木曜日

 昼に近隣の繁華街にいき、ヨドバシで買いものをすませ、その町の韓国料理屋さんで昼ごはんにスゥンドゥブ定食を食べる。昨日のことがあったので、「辛くしてください」と言ったが、ちーっとも辛くなかった。すみません、味蕾全滅なもので。
 来週また出張で香港にいくのだが(恐怖の連続出張)、それまでに、やっぱりどうしてもまにあわんべ、徹夜するしかないのかなあ、でもそんなことできっこないわなあ、と、目に涙をためてがんばっていたところ、午後二時過ぎにかすかに光が射し、徹夜しなくていいのかも! と思った。やっぱさあ、徹夜なんてできないよな、この年でさあ。
 夜にテレビを何気なく見ていたら、ミステリーサークルはふたりのおじいさんが作ったものだったという番組をやっていて、もんのすごーくびっくりして、のめりこんで見てしまった。すごいなあ、このおじいさんたち。夜中にふたりで笑ったという話が、すごく小説的だなあと思った。私、ぜったいに宇宙人の仕業だと思っていたんだけれど。でもナスカの地上絵は宇宙人作なんだよね? 違うんだっけ?締め切りよっつ。

2月29日
金曜日

 目に涙をためて仕事。出張までに間に合うか。いや、来週のことは考えるのをやめよう。などと考えつつ仕事。締め切りみっつ。

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