アスペクト

つれづれ雑記 角田光代

作家・角田光代さんの日常を綴る日記が、アスペクトONLINEにて連載開始です!怒涛のような締め切りの数々や大好きな肉のこと。見たこと、聞いたこと、会った人、出かけていった旅のこと。角田さんの毎日のつれづれはここでしか、読めません!!

2008年5月1日〜5月29日

5月1日
木曜日

 まあ、もう5月ですか。午後に仕事場を出て銀座にいき、所用をすませ、そのままあまりなじみのない都心方面へ。一軒家のすばらしいレストランで新婚のD夫妻とごはん。ゆったりしていて、静かで、料理もおいしかった。が、私はこの半年の仕事ダイエットで(昨日終了したのだ)、ぜんぶの量が食べられなくなっていたことよ。それでも腹の皮がハツハツになったことよ。
 帰りの道が驚くほど空いていた。昭和から平成に切り替わった夜を思い出したくらいの空き具合だった。締め切りひとつ。

5月2日
金曜日

 いきなりの土砂降りが3回くらいあった。明日は土曜日で休みなので、ゲームをしまくって夜更かしをした。

5月3日
土曜日

 休日が土曜日だとがっかりする人は多いのではないか。朝、雨が降っていたので走れず、スポーツクラブにいって走った。空いていた。どこもかしこも空いているんだろうと思ったが、焼き肉屋はものすごく混んでいた。早めにいったので入れたが。焼き肉後、薬局にいったら、吸い寄せられるように目が「熱のときのための栄養ドリンク」に釘付けになり、「なんでこんなものを私は凝視しているのか」と、不思議に思う。買うものはそれではなく三角コーナーの網なのに。
 カラオケ屋にいって得意げにシャウトしていたら、鼻の奥がかぴかぴになり、なんとはなしにやばい感じになる。

5月4日
日曜日

 寒気とだるさと喉痛と鼻づまり。熱は37度。風邪ですな。昨日の鼻の奥かぴかぴはこの前兆だったわけである。そして「熱のときのための栄養ドリンク」は、自分の内の予知だったらしい。こういうことってあるよね、ときどき。あまりにもつらいので一日寝る。いくらでも眠れる。1時間ごとに目覚めて熱はかったら、その都度1度ずつ上がっていってこわかった。
 しかし熱があるのに腹が減って減ってかなわんので、昨日買った豚肩ブロックを煮込む。白和えも作る。島らっきょうも作る。味噌汁も作る。が、作ったもの、みんなおいしく感じられなかった。食後に食べたチョコアイスだけがひんやりしておいしかった。熱、ですな。8時半に寝る。

5月5日
月曜日

 風邪、もしくは風邪らしきもの、のとき、市販の薬をのむと、熱は下がるが、風邪はなおりきらず、結局長引く、というのが持論で、できるだけ薬はのまず、ひたすら眠るのがいいように思われる。眠りってのはすごいなーといつも思う。風邪のときは食べるより眠るが断然いいように思う。そんで、昨日からものすごい勢いで寝た。熱は下がったがなんかふらふらする。しかも顔じゅう至るところに吹き出ものが。これは風邪のせい?それともチョコアイスのせい?
 ともあれ、午前中、横浜美術館にいく。みなとみらい、ショッピングビルのあるあたりはちょっと混んでいた。連休だからかな。昼ごはんを横浜で食べて帰ろうかな、と思いつつ、そのショッピングビルのレストランフロアを歩いたが、あまり心惹かれず、東横線に乗って帰る。私の前に立っていた中学生くらいのカップルが、そのまま性交をはじめるのではないかと不安になるほどいちゃついていた。まあ、連休だからね。
 先だって、魚屋さんで初鰹を買ったとき、「今おいしいのは鰹と鰺。今日鰹にするなら明日鰺にしなさいな」と言われたので、今日は鰺を買う。桜海老が大量に余っていたのでチヂミを作ったらうまくできた。チヂミって、案外失敗の少ない料理ではないのかなあ。

5月6日
火曜日

 地味に仕事をして、午後にジムにいって、寡黙にトレーニングをして、家に帰り、牛すじを煮てカレーを作る。ゴールデンウィーク(ないけどさ)最後のイベントとしてのすじ煮である。明日から留守にするので、自主締め切りふたつ。

5月7日
水曜日

 早朝5時台の電車に乗って羽田空港へ。今日、明日と九州。ところで、私、人生で初の九州なのである。初だから、自分がいくのが、九州のどこなのかちーともわからない。
 9時ごろ熊本空港着。熊本だったのか。カメラマンさんの運転するレンタカーで、山奥を目指す。天気がよく、道は空いていて、緑が美しく、突如、自分がゴールデンウィークを満喫している錯覚を抱き、「ああ、なんてしあわせなんだ!」という至高感に襲われる。「Sさん、私、ものすごくたのしい!」と、今日初対面の編集者Sさんに言うと、Sさんは突然の私の大声宣言にびびった顔つきで「そ、それはよかったです……」と言った。

5月8日
木曜日

 私が滞在したのは大分と熊本の県境で、熊本、大分、熊本、とたくさん往復した。昼過ぎに、泣きそうなほどうまい蕎麦を食べて、私はひとり帰る。この旅では、熊本城もいかず熊本ラーメンも食べず、ひたすら、豚、牛、豚、豚、牛、豚、と食していたのだが、詳細は雑誌に書きます(Dancyuという雑誌の取材)。
 飛行機の時間が噛み合わず、空港で2時間も待つ羽目に。数少ない文庫本コーナーでめぼしい本を買って読みはじめたら、やめられなくなり、2時間があっというま。飛行機のなかでも、帰りの風呂のなかでも、寝る前も読み続ける。

5月9日
金曜日

 九州などいかなかったかのように仕事。昨日まで肉三昧だったので夜は魚を食べた。締め切りみっつ。

5月10日
土曜日

 雨のなか近隣の繁華街を歩き、本屋にいったらあれもこれもほしくなってあれもこれも買い、その後雨のなかを歩いて隣町の焼き肉屋へ。いつもいく焼き肉屋より肉の脂が多く、それはそれでうまいのだが、いつも食べるぶんの三分の二くらいで満腹になる。年だねい。
 そして夜、ショックなできごとが。ジャケットに消臭剤をかけようとして、なぜかまったく何も疑わずにカビキラーをぷしゅーとかけてしまったことである。「あっまちがえたっ」と思ったときには、紺のジャケットがみるみる赤茶色に変色しているではないか!ふんぎゃー、と、泣きそうになりながら洗ってみたが、もう遅いのであった。紺のジャケットに赤茶のまだらが。ううううう。このジャケット三年前に買ったんだけど好きだったの、とっても。本当に好きだったの、便利だったの、この季節にはちょうどよかったの、ううううう。泣きながらジャケットを処分。落ちこむ。

5月11日
日曜日

 朝もまだ雨が降っている。午後になったら晴れたので、走る。夕方走ると、それまでに摂取した食べものや飲みものが、腹のなかでちゃっぷんちゃっぷんと鳴るのだ、とはじめて知った。いなや音だよなー、このちゃっぷんちゃっぷん。走る私に、犬連れのおばさんがにこにこして声をかけてきて、なんだと思ったら、「見て!鴨があんなにたくさん子どもを連れているの〜」ということであった。川を見下ろすと、たしかに、鴨についてちーこい子鴨が尻をふって歩いていた。ひええええ、と思うほどのかわいさであった。
 夜に、いったい何人前なんだべや、というくらいの量の食事を作ってしまい、なんでこんなに作ったのかと自身を謎に思う。昨日のジャケットのことを思い出し、思い出し落ちこみ。

5月12日
月曜日

 昨日の、作りすぎた料理の反省をして(反省ばかりの日々である)、夕飯の残りを弁当ふうに包んで仕事場に持ってきて、パンを買い足し、食す。なんか新鮮で、こういう弁当生活もいいなあと思った。が、弁当にしようと思ってはいけないと自分を戒める。私、こういうの、やろうと決めるとやりすぎるのだ。五時起きして弁当作りはじめたりして、そんで作れない日は落ちこんだり罪悪感を覚えたりするから、よくないのだ。しかし、ときたまだと、弁当って作るのも食べるのもたのしいんだよねえー。それでまた、弁当箱とか、弁当包む布とか、箸箱とか、かわいいのがたーくさんあって、興奮するんだよねえー。ああ、だめだめ、弁当だめだめ。
 午後打ち合わせ一件、5時に仕事を終えて新宿のデパートにいき、スニーカーを試しばきしたところ、ちょうどいいサイズなのに右足が「ぐぬおっ」というほど痛かった。右足、外反母趾なのだ。そんでそのスニーカー、横幅が狭かったの。でも足を通すだけで痛いのなんてはじめてだ。ひとつ上のサイズを買った。そののち、西新宿に移動して、S亭の会。三年くらい前から不思議な面子で集う会だが、私はこの会の人もこの会もこの店(昭和ふう民家)もしびれるくらい好きである。SさんKさんのオタク魂などを垣間見つつ、10時過ぎに二次会の店をさがしてうろつき、あたりにめぼしい店がまったくなく、新宿のKに移動。1時過ぎに散会。心からたのしかった。締め切りひとつ。寒すぎますが。

5月13日
火曜日

 今日も寒い。5月なのに暖房を入れる。鰆がとんでもなくおいしかった。旬のものっておいしいんだねえ、と思った。

5月14日
水曜日

 仕事をし、午後ジムへ。その後魚屋さんにいったら休み。そうだった、水曜日はこの地域の魚屋さんは定休なのだった。路線変更し八百屋さんにいったら、ジムメイトのMさんが、「酒に合うつまみ」として見たことのない山菜を勧めてくれ、調理法も教えてくれたので、買ってみた。コシアブラという山菜らしい。熊と競争して採るんだって。ごま油で炒めて、醤油と酒をからめて、七味をふってできあがり。ほろ苦くて、三つ葉のような風味があって、うまいでやんの。たしかに酒に合う。先だってこの八百屋さんではおかひじきを勧められて、これもはじめて食べておいしかった。この八百屋さんは私の食革命を推進してくれてありがたい。締め切りひとつ。

5月15日
木曜日

 ようやっと寒くなくなった。5月ですよ。昨日まではちょっとおかしかったんじゃないの。だって5月ですよ。
 5時まで、めりめりと音がするほど仕事をし、野菜買って帰る。今日は私としてはものすごい冒険をした日である。なんてったって生まれてはじめてカリフラワーを買ったのだ!カリフラワー。今まで一度も口にしたことがないカリフラワー。その存在意義がまったくわからんちんだったカリフラワー。一生食べることはなかろうと思っていたカリフラワー。そのカリフラワーをですね、みずからの意志で買って、みずからの意志で調理したわけですよ。何作ったかってえとポタージュ。ポタージュならたいていのものは食べられると気づいたんだ、スープ好きだから。
 それでカリフラワーのポタージュ!ちょっと泣きそうになるくらいおいしいでやんの!どうしちゃったのってくらいの話だよ。じゃが芋のポタージュよりおいしい。感動した。それから心から申し訳ないと思った、今まで馬鹿にしていて。まったくこれは、人類がはじめて月に一歩を踏み出したと同じことくらいの大事件なのだ、私のなかでは。ううむ。感無量。締め切りいつつ。

5月16日
金曜日

 夕方、新宿で打ち合わせ一件。久しぶりに新宿の東口を歩いたら、人の多さにめまいがした。上京したような気持ちである。打ち合わせ後、どこかの都心にいき、M社Nさんと大人っぽい店で肉を食う。ここの肉がすごかった。メニュウに書いてあるものはみんな、600とか700とか900とか(グラム数です)。慎重に注文するも、お店の人が「それでは少ないかもしれません」とのこと。Nさんと分けっこして食べたが、それでも多かった。みんな、いったいどのくらい肉を食べられるんだろう!そしてNさんの、肉林のような話を聞く。
 その後、どこか都心(どこなのかさっぱりわからない)のバーで一杯酒を飲んだら、酔っぱらって頭がぐらぐらしてきたので、帰る。モテについて考える。締め切りふたつ。

5月17日
土曜日

 夢中で読んでいた星野博美さんの「愚か者、中国をゆく」を、昨日、大人っぽい肉の店に忘れてきたことに気づく。もう一度近い内にあのすさまじい肉を食べにいくか、新しく買いなおすか。買いなおしたほうがいいな、続きをすぐ読みたいから。
 鴻上尚史さんからお芝居をしているので観にきてね、と連絡があり、紀伊國屋とかでやっているのかなーと思ったら、なんと、シアターグリーンでやっているという。しかも旗揚げ公演だという。えっ、旗揚げって。旗揚げってあなた。「しかもシアターグリーンですか」「だって旗揚げだもーん」とのことである。もーん、ってあなた。すごいなあ。私、20年前に観ているよ、鴻上さんのお芝居。そのときはすでに紀伊國屋ホールでした。
 そんなわけで午後に池袋にいく。一時期学校みたいに通った場所なんだけれど、みごとに場所を忘れていて、20分くらい歩いても着かず、観念して文房具屋の奥さんに道を聞き、ようやくたどり着くが、記憶のなかのシアターグリーンと大きく異なっていてびっくらこいた。ちっこくて座布団敷いて観る劇場だったはずなんだけど、敷地内にいくつか劇場があって、きれいになっていた。座席があって座布団じゃなかった。虚構の劇団旗揚げ公演「グローブ・ジャングル」、おもしろかった。鴻上さんのお芝居の、音楽の使い方の新鮮さに20年前驚いたことを思い出した。あと、丸っこい手書きの挨拶文を、二十年前にじーっと読んでいた自分のことも思い出した。芝居に感動して帰る。帰って壺に入った肉を食べにいく。シャウト部を結成して、深夜、シャウトの練習をしにカラオケにいく。シャウト後、雨に濡れながらとぼとぼと帰る。

5月18日
日曜日

 がんばって10キロ走ってみる。もういやだー、もういやだー、と思いながらもなんとか走れた。10キロってさあ、長いし、ひまだよねえ、体はつらいし。本読みながら走れたりすれば、まだ気が紛れると思うんだけれど。夜、意を決してめばるを買いにいったら(めばるなんて調理したことないから覚悟が必要)、金曜日には1000円以下だっためばるが、2000円以上したので、鰹にした。

5月19日
月曜日

 午前中に仕事場を出て神楽坂に。こざっぱりしたすてきな洋食屋で、S社の方々6名とお昼ごはん。人の会社の近くの昼食レストランって、なんでこんなに魅惑的なんだろう。洋食屋の前にあるイタリア料理屋もすてきであった。私のなかでは洋食イコールオムライス、なので、オムライスを食べた。その後、S社ヤング(ヤングというあだ名。きっと40歳になっても私たちからはヤングと呼ばれるであろう)の先導で、家が近所のKさん、デビュー時からの朋輩Bさん、シャンパンマスターRさんとともに、加藤製本にいく。今日は、製本の現場を見学させていただくのだ。
 製本所というのは、私もよく理解していなかったが、本を本のかたちにするところ。印刷所とは違うのだ。印刷所からきた馬鹿でかい紙を、裁断し、綴じ、背表紙をつけていく。S社の文庫本には、茶色いリボンのようなしおりが必ず入っているが、これを機械でつけて、人がページのなかにはさみこんでいく。ちょうど今、私の文庫を作っていただいているところで、こうなったらSというイニシャルにあんまり意味はなく、新潮社と書いてしまうが、「おやすみ、こわい夢を見ないように」が、がーーーーっとできていく様には、涙ぐむほど感動するものがあった。
 しかも、本作りの過程は、もっのっすっごくたくさんあって、けっこうな過程で機械でなく人の力が必要で、驚いたり、感動したりした。それで、私今、開高健の「一言半句の戦場」読んでいるんだけれど、これすごい本で、中身もすごいけど、本がほんっとうにきれいなんです。それで加藤製本のフロア歩いていたら、「開高健」と紙の置かれた山があって、それは製本途中の「一言半句の戦場」で、本の中身と、背表紙と、カバーが、ばらばらに置いてあって、これはもう、本物の作家に会ったときのような「うおー」という感じがしましたね。
 ともかく、たいへん貴重な体験であった。加藤製本のみなさん、ありがとうございました。これからきっと本を読むとき、奥付を確認し、「あっ、加藤製本だ」と感動とともに思うと思います。
 その後、夜までの約束に中途半端に時間があいてしまい、新潮社の地下の食堂でジュースを飲み、KさんBさんと野球の話などし、それでも時間が余り、二人の仕事をこうして邪魔しているのもどうか、と不安になったのでひとり東京駅にいって時間を潰す。
 夕方に両国で待ち合わせ、三百なん十年だか続くシャモ料理の店にいく。高齢温泉の会のメンバーのひとり、T田さんが新刊を出されたので、そのお祝いの会。いつも箱根や山梨にいるメンバーだから、この面子で両国を歩いていたら、遠い地を旅している気持ちになった。シャモ料理、おいしかった。ご病気をされたT田さんもお元気で、よかった。中期高齢者、前期高齢者の話だの、文学の話だの、小説家の話だの、温泉で繰り広げているのとまったく同じ話をし、その後銀座に流れる。私は仕事がコワイことになっているので、涙を呑んで一足先に帰る。道が、ゴールデンウィークほど空いていた。台風がくるから?(今日の日記、ものすごく長いな)

5月20日
火曜日

 昨日慎重に飲んだので二日酔いにならず。が、ものすごい雨と風なので、電車通勤にする。久々に朝のラッシュ電車乗ったら、やっぱりみんなが殺気だっててかなしくなった。おっさんたちさあ、いい年なんだからおばあさん押しのけたり鞄で押したり傘ふりまわしたりすんのやめようよう、といい年したおばはんの私は思うのであった。一本早い電車に乗ったって、輝かしい未来が約束されるわけではないと思うんだがな。
 仕事を定時に終え、新宿御苑前で所用を済ませ、そのままずーっと歩いて西武新宿の駅のほうにいき、道に迷ったところに交番があったので道を聞き、正しい道に進む。交番、どこにでもあればいいのにな。K社の方二名と、筋肉美作家Hさんと肉を食う。私より10歳は年上だろうと思っていたK社のHさんが、同い年で、目の玉が飛び出るくらい驚いた。同い年と聞いてもやっぱり10歳年上に見えた。そして作家のほうのHさんと肉の話をしていたら、先週私がいった大人っぽい肉の店で、Hさんは400グラムの肉をダブルで食べたと知り、驚愕する。それ、800だよ。ってわざわざ書かなくともだれでもわかるか。でも800だよ。四捨五入したら1キロじゃん。
 その後歩いて移動し、ゴールデン街の飲み屋さんにいってしこたま飲んだ。濃いお茶割りがすんごーくおいしかったのだ。楽しすぎて、どのくらい飲んだのかわからなくなった。締め切りひとつ。

5月21日
水曜日

 昼過ぎに仕事場を出てみなとみらいにいく。東横線にはボックス席がありますね。あそこ座ると何か食べたくなりますね。弁当とかみかんとか。しかし何も食べずエアロスミス聴きながら爆睡。横浜美術館で打ち合わせをし、そのまま帰る。天気がよかったなあ。
 1000円以下のめばるがあったので、はじめてめばるを調理する。煮魚ってかんたんだな。

5月22日
木曜日

 昼過ぎに銀座にいってB社の面々とMさんとまるでプロジェクトのような所用を済ませ、まだ明るい午後5時、浅草方面に移動して馬鍋屋にいく。馬刺もさくら鍋もおいしかった。お店のたたずまいがすてきだった。いったことのない不思議な町であった。まだうっすらと明るいうちに移動し、こんどは浅草の屋台で飲む。女子話でもりあがる。私も我を忘れてもりあがる。さらに銀座に移動して、すてきな座敷でもりあがる。いったいどのくらい飲んでいるのかすでにわからない。さっきまで明るかったのに、気づけば12時である。7時間飲んだのかー。それって私の睡眠時間といっしょじゃん。なんとたのしい一日であったろう。幸せな眠りにつく。アミノバリュー、二日酔いにききます。

5月23日
金曜日

 アミノバリューを飲んだので、二日酔いが軽くてすんだ。昨今、私は二日酔いが本当につらく、二日酔い対策のことばかり考えているが、もし二日酔いがなかったら、私はたいへんなありさまになっているだろうとも思う。締め切りひとつ。

5月24日
土曜日

 朝起きて走り、繁華街にいき、仕事場にちょこっと寄って、九州のソースが使いたいがために焼きそばを作る。夕方から雨だった。

5月25日
日曜日

 朝起きてジャージに着替えるも、雨だったのでそのまま掃除をする。掃除を終えたら晴れたので、走る。自分がいじらしくて泣きそうである。なんでこんなに嫌なことを、強迫観念のように続けているのか。
 昼過ぎに赤坂にいってラジオ。道が空いていて、30分も早く着いてしまい、しかも本を持っていなかったので、待合室(?)の壁に貼ってあった世界地図を見て時間をつぶす。今日は爆笑問題と友近さんのラジオに呼んでいただいたのだが、数カ月前、太田さんがラジオで拙著について触れてくださり、帯の言葉までいただき、それで、いつかお礼を言いたいとずーっと思っていたので、直接お礼を言うことができて本当によかった。四人で話していても私はなんだかテレビを見ているような気分で、圧倒されつつ腹が痛むほど笑い、三言ぐらいしかしゃべらなかったような気が。しかし、この人たち、脳と言葉の直結具合がすごいなーと心底感動した。頭の回転が速いってこういうことを言うのだろうな。私が頭で考えて何か一言発語するあいだに、この三人は500個くらい先をしゃべっている感じ。
 その後帰って、近所の中華料理屋さんにいく。近所とは思えないおいしさなのだが、今日もまた、震えるほどおいしかった。そして安かった。就寝時間ぎりぎりまでゲームをし、寝る。

5月26日
月曜日

 晴れていてうれしい!昼になぜか食べたくなってシウマイ弁当を食べ、列車に乗っている気分になり、しかしそんなのは一瞬で、仕事をし、ジムにいく。ジムの階段で同級生作家Fさんに会ったら、ものすごく長い小説を書き終えたと言っていたので、祝いの言葉を言う。飲みにいこうよー、とまた言いそうになったが、ぐっとこらえた。そんな、飲み屋の営業じゃないんだから、顔合わすたび、飲もう飲もう飲もうと誘うのもどうかと思って。
 夜、ナポリタンを作ろうとしたら、ピーマンが切れていて茄子で代用した。茄子とベーコンのケチャップスパゲティみたいになった。ピーマンって、重要な役割を占めているんだな。

5月27日
火曜日

 昼に昼ごはんを食べず仕事場を出て、東陽町へ。今日は肉取材で、前にいっておいしかった焼き肉屋さんを再訪し、昼ごはんを食べて肉の取材を受ける。肉をどんなに愛しているかについて語りつつ肉を食う。極肉派にはうれしい取材だなあ。やっぱりおいしかった。一階お肉屋さん、二階焼き肉屋さん、三階すき焼き屋さんという、肉の城みたいな店で、お店の人がみんな親切で、肉への愛が伝わってくる。焼き肉もすき焼きもすばらしいです。
 肉後、浜松町に移動して、アイルランドエッセイの朗読収録。今日が最終回である。無事に終え、水道橋に移動。浜松町と水道橋って近いってはじめて知った。浜松町と銀座も近いし、浜松町と大手町も近いし、浜松町ってどっからも近いのだなー。
 水道橋ではジムの選手の人たちが出る試合があって、先だって対談をしてジムメイトであると知った将棋の先崎さんと、後楽園ホールにいく。席が超のつくリングサイドだった。やっぱり後楽園で見る試合は迫力があっていいなあ。すぐ隣にいた会長が、選手に「打て打てオルァッ」と怒号を浴びせたあと、「言うのはかんたんよね〜やるのがたいへんよね〜」と私たちに言うのがおかしかった。ジムの選手は4人くらい出場していたが、みんな勝って、よかった。その後地元に帰り、飲み屋にいく。飲んでいる最中、背中にだれか取り憑いた?と思うくらい、肩が重ーくなって、気を失うかと思ったんだけれど、失わなかった。でもあまりに体が重く、あんまり飲めなかった。どうしちゃったんだろう。体は重くてもたのしくて、気づいたら日付が変わるところだったので、あわてて帰った。

5月28日
水曜日

 ところどころで集中を切らしながらもなんとか仕事をし、ごくふつうに帰る。ヤリイカのカレーフライを作ろうと思ったのだが、小麦粉が切れていた。それでもメニュウ変更せず、片栗粉で押し切るように揚げる。まあ、なんとかなるもんだ。またしても頼んだ北海道のアスパラがうまくてたまらん。アスパラを大量に食べるとおしっこがアスパラくさくなるって知っていましたか?

5月29日
木曜日

 また雨。今日、「このまま梅雨に突入したらどうしよう」と不安を感じた人は5000人くらいいるんじゃないか。この数にまったく根拠はないが。私はそのひとりです。
 昨日からむんむんと仕事をして頭のなかががちがちになってきたので、午後、ジムにいき、そのままシャワーも浴びず高円寺にいってK書店Tさんと打ち合わせ。こういうのってどうかと自分で思う。こういうのってのはつまり、汗だくなのにシャワーも浴びず人に会うってことです。思うが、そうしかできないのである。Tさん、私がくさかったらごめん。打ち合わせ後、古本居酒屋コクテイルにいき、長嶋康郎さんと打ち合わせ。来月このコクテイルでトークショーするの。数分後に友人もきて3人で恋愛について語る。いや、恋愛というよりも、人の傾向とか、そういったたいへんに広がりのある話だった。あまりにもたのしく、またしても飲み過ぎる。12時過ぎに3人で電車に乗って帰る。年齢はばらばらなのに(60歳と35歳と41歳)、なんだか同級生の3人のようだったなー。帰ってから、Tさんにもらった博多土産のお菓子を食べたら、「げ、何これっ」と叫ぶくらいおいしくて、「げ、何これっ」「げ、何これっ」と叫びつつ、続けざまに食べてしまった。ああ、びっくりした。締め切りひとつ。

5月30日
金曜日

 二日酔いなのか、そうでないのか、わからないまま仕事場にいき、仕事をする。ふきを買おうと思って八百屋さんにいったら、ついこのあいだまであった、あのながーいふきがなく、短い「野ぶき」と書かれたものしかない。「あのー、これは長いふきとおんなじふき?」と訊いたら、八百屋のおにいさんは「さあー。これはきゃらぶきにするやつ」と言う。それを聞いたら猛烈にきゃらぶきが食べたくなって、野ぶきを買う。はじめて買った。食革命は続いている。締め切りいつつ。

5月31日
土曜日

 朝起きたら雨降り。しかたなくスポーツクラブにいく。帰ってDVDで映画を見、きゃらぶきを作ってみる。すんーごくうまくできたのでびっくりした。はじめて作るものがうまくできると感激しますね。まだ少々明るいうちに焼き肉を食べにいく。

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